犬だけの「ケア」かと言うと、実はそれがめぐりめぐって「飼い主の」ケアだったりすることも結構あります。
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ぽちは、私にとって、始めて迎えた犬です。
子供ナシ、夫と二人暮らしの私にとって、一人で過ごす平日の昼間はいつもとても静かでした。
動くもの・音を発するのは、自分だけ。
それが、ぽちが来たあの日から変わりました。
ほんの手乗りサイズの500gにも満たない重さでしたが、最初に抱っこした時のぬくもりに、命の重みをずっしりと感じた事を覚えています。

自分以外の温かく体温を持つもの、ちょこまかと動き回り、あっちこっちで糞尿垂れ流し(^_^;)、家具だけでなく家まで齧る茶色い子犬は、新鮮だった反面、「いやはやこれは、面倒な事になったぞ」と思ったのも事実。(笑)
ぽちは、ウチに来た翌日から、さっそく病院のお世話になり、入院し、その後も何やかやと動物病院のお世話になる事の多い犬でしたので、多分、私は必要以上に心配性の飼い主になりました。
世話の焼ける子ほどかわいいとも言いますが、ぽちの成長とともに、こちらも立派なバカ親に育ち、ぽちの誕生日や家族記念日を迎える毎に、やがて来る別れを想像し恐れるようになっていました。
そんなある日、ローレン・マッコールさんの、「動物達の死生観」と題した講演を聞く機会がありました。
彼女の口から語られる話は、いつか、私自身が必ず陥るに違いないペットロスを軽減させてくれるであろうと思える話でした。
動物達は、死ぬことを恐れてはいない。
彼らは、「今」、「ここ」での学びを終えて「家に帰る」だけ。
体はただの器。大事なのは魂。
彼女の話を聞いたことで、私は何故かとても安堵しました。
そして、一方的な恐怖や恐れはなくなり、あと何年ぽちと一緒に過ごせるだろう?なんて引き算をしなくなりました。
動物達の中には、もちろん人間も含まれます。
平穏無事な日々が続くとついつい忘れがちになってしまうのですが、今ある時間を大切に過ごし、感謝し、学び、成長し、ただ愛せば良いのです。
講演の中でも、ローレン・マッコールさんの著書『永遠の贈り物』の中でも紹介されていた、アボリジニの言葉です。

われわれはみな
「今」「この地上」を訪れた旅人
ただ 通り過ぎて行く者にすぎない
ここへきた目的は
観察し 学び 成長し 愛すること
そののちふたたび 家へ帰るのだ
今から6年ほど前の話です。
時々忘れることはあっても、ずっとこの言葉は心の中に残っています。